生涯現役の資産運用

日本の高度成長の原動力となってきた「団塊の世代」が定年を迎え、高齢化がすすむ社会にあっては、高齢者が「年金生活者」として若い世代の負担に甘えることなく、自立した「生活者」として社会との関わりを持ちつづけることが必要だと思います。 年金受給額や家計の金融資産額でみるかぎり、日本の高齢者の経済基盤は先進国の中でもトップクラスに位置しており、高齢者層は社会において二つの重要な役割を担っています。
その一つは,企業が作り出す製品やサービスのユーザー(顧客)として、他の一つは企業にとって必要な資金を供給する「株主」あるいは「投資家」としての役割です。 高齢者は、「現役」として物を作り,サービスを提供することによって報酬を得てこれまで生計をたててきました。 退職して「年金生活者」になることは、これによって社会との関わりが能動的なものから受動的なものに変わるものではないと思います。 むしろ、「現役」時代には時間も余裕もなかったため関心も少なかった「投資」について、これを自分自身の問題として積極的に係わっていくことによって、経済的自立とともに社会との新たな関わりを見出すことできるのではないかと思えます。
日本の個人金融資産総額1,500兆円(!)の半分以上は、依然としてゼロに近い金利の預貯金に預けられたままになっています。 先の世界的金融危機により、金融資産の多くが失われましたが、個人金融資産の大半は無傷で預貯金に残っているわけです。 「団塊の世代マネー」を狙って、金融機関は商品・サービスの売り込みに躍起で、高齢者のもとには、あふれんばかりの投資情報が送られてきます。 これまで預貯金以外の運用を考えもしなかったという方々は、やはり「誘いに乗らなくてよかった」と思っておられることでしょう。 だからといって預貯金だけでは運用というにはリターンが低すぎます。 大暴落した金融商品市場も、世界的規模では緩やかな回復に向かっていて、いろいろな資産の価値が低い(値段が安くなっている)「いま」は、資産運用について考える絶好のチャンス到来といえると思います。
資産運用には目的をはっきりさせることが必要です。 目的とともに期待するリターンと、それを得るためのリスクの限界をはっきり決めておきましょう。 高齢者の資産運用は取り返しのつかないリスクをとることは出来ません。 数ある投資対象の中から何か一つを選んで、大きな利益を得ることを期待することは絶対避けるべきです。 価値の変動する数種類の資産の組み合わせによって投資リスクはかなりおさえられます。 慌てる必要はありませんので、自分の経験から自信を持って選べるもの,あるいは「このことならあの人に聞いてみよう」と思う人の意見を聞いて納得できる資産を組み合わせて、世界にただ一つの自分のポートフォリオをつくることから資産運用が始まります。 資産運用を通して新たな知識や出会いが得られることでしょう。 自分自身の資産を運用するという行動は、それ自体がアクティブな生涯現役の「事業」であると思います。
資産運用の成果は、前向きに使っていきたいものです。運用目的を上回る利益が得られた時には、自分が支援したい活動のために寄付することにしておけば、喜びは倍増することでしょう。少なくとも使途不明の税金を納めるより気分がいいことは確かです。











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